・・・自分は、ハンデキャップを認めません。体当りで来た時には、体当りで返事をします。 今日は、君の作品に就いてだけ申し上げました。君のお手紙の言葉に対しては、次の機会にゆっくりお答えしたいと考えています。君の二通の手紙は、君の作品に較べて、ひ・・・ 太宰治 「風の便り」
・・・金持の子というハンデキャップに、やけくそを起していたのだ。不当に恵まれているという、いやな恐怖感が、幼時から、私を卑屈にし、厭世的にしていた。金持の子供は金持の子供らしく大地獄に落ちなければならぬという信仰を持っていた。逃げるのは卑怯だ。立・・・ 太宰治 「東京八景」
・・・というものがある。そうして、その先輩というものは、「永遠に」私たちより偉いもののようである。彼らの、その、「先輩」というハンデキャップは、殆ど暴力と同じくらいに荒々しいものである。例えば、私が、いま所謂先輩たちの悪口を書いているこの姿は、ひ・・・ 太宰治 「如是我聞」
・・・病躯の文章とそのハンデキャップに就いて 確かに私は、いま、甘えている。家人は私を未だ病人あつかいにしているし、この戯文を読むひとたちもまた、私の病気を知っている筈である。病人ゆえに、私は苦笑でもって許されている。 君、か・・・ 太宰治 「もの思う葦」
出典:青空文庫