・・・ソヴェト生産の鋏は、順当な交互作用を失って開きっぱなしという危機に立ち到ったのであった。 一九二一年の果敢な新経済政策は、この生産関係の調整のために敢行された。新経済政策は、農民には場合によって八時間以上の労働と、土地の貸借、他人の労力・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・私共は本能的な人なつかしさで、彼が椅子の背を掴んで腰かけるのや、テーブルの下で長い脚を交互に動かしたりするのを眺めた。衝立の陰から、前菜の皿を持って給仕が現れた。辞儀をする。腸詰やハムなどの皿を出す。若いアメリカ人はそれを一瞥したが、フォー・・・ 宮本百合子 「長崎の印象」
・・・日本の文学が現代の段階までに内包して来ている諸条件と、急速に変化しつつある世態とが、交互に鋭い角度で作用しあって、例えば、行動の価値と文学の本質及びその仕事に従うこととの間に、何か文学が社会的行動でないかのような、文学への献身に確信を失わせ・・・ 宮本百合子 「文学の流れ」
・・・作家も読者も作中人物さえもそれぞれ時代の歴史を照りかえし、またその歴史を交互に営んで生きつづけてきているのであるから。手近な文学作品の書棚で私たちの見出すのは何だろう。 シェークスピア全集は随分流布した。「ハムレット」のオフェリヤ。「マ・・・ 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
・・・せ、より自我の核心を把握して構成派的力学形式をとることに於て、表現派とダダイズムは例えば今東光氏の諸作に於けるが如く、石浜金作氏の近作に於けるが如く、時間空間の観念無視のみならず一切の形式破壊に心象の交互作用を端的に投擲することに於て、また・・・ 横光利一 「新感覚論」
出典:青空文庫