・・・ 和平を求むる者は福なり、其故如何となれば其人は神の子と称えらるべければ也、「神の子と称へらるる」とは神の子たる特権に与かる事である、「其の名を信ぜし者には権を賜いて之を神の子と為せり」とある其事である(約翰、単に神の子たるの名称を賜わ・・・ 内村鑑三 「聖書の読方」
・・・けれども、「和平建国」というロマンチシズムには、やっぱり胸が躍ります。日本には、戦争を主として描写する作家も居りますけれど、また、戦争は、さっぱり書けず、平和の人の姿だけを書きつづけている作家もあります。きのう永井荷風という日本の老大家の小・・・ 太宰治 「三月三十日」
・・・一、白蘭の和平調停を、英仏婉曲に拒否す。 そもそもベルギイ皇帝レオポオル三世は、そのあとは、けさの新聞を読んで下さい。二、廃船は意外わが贈物、浮ぶ『西太后の船。』 そもそも北京郊外万寿山々麓の昆明湖、その湖の西北隅、意外や竜・・・ 太宰治 「俗天使」
・・・「家は出来るし、生活の不安はないし、允男の成績はいいし、一家は和平に満ちていた。」 然し、時代は、允子が允男に風邪をひかすまいとばかり心をくばって生きて来る間に、風波の高いものとなって来ている。公荘夫婦は、允男のかえりがおそくでもあると・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
出典:青空文庫