・・・近年、西洋において学芸の進歩はことに迅速にして、物理の発明に富むのみならず、その発明したるものを、人事の実際に施して実益を取るの工風、日に新たにして、およそ工場または農作等に用うる機関の類はむろん、日常の手業と名づくべき灌水・割烹・煎茶・点・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・実利実益の見込みにからんで国内をつよくひろい幅で流れまわったこのたびのアメリカ大統領選挙の予測の方向につりこまれて、複雑な現実がひきおこす誤差に思いも及ばず、一二の雑誌がみっともなかったとしても、その現象をいたずらに嘲笑することはできない。・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・一握りの婦人代議士が、議会の中でどのようなよい計画を提案したところで、其を実現する上から下までの行政機構がこれまで通り、封建性と官僚気質でかためられているとしたら、どれほどの実益をもたらすことが出来るだろう。或る意味よりいえば、我々の生活に・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫