・・・大きな大きな宿題です。 現代数万の女性は、いやいや母になり、万已を得ず生れた子を育て、傍ら、自己発揚の機会を奪われている不平を述ております。 これは、どちらに対しても――自己と云う箇人に対しても、子供に対しても、無良心極る冒涜です。・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・ 芥川龍之介は、ブルジョア文学の背骨の中に漱石がのこして行った宿題を、その生涯で解いた作家であった。社会的制約の間に切っぱつまった自我の姿を凝視しつつ、彼は自己を破壊することでそれを主張したのであった。 プロレタリア文学の擡頭は・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・ 一つの宿題 舟橋聖一氏の「新胎」「新胎」という舟橋聖一氏の小説を読みはじめて、ああ、これはいつぞや『行動』か何かで読んだのに似ていると思った。編輯後記を見たら、旧作「濃淡」に骨子を得云々・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫