・・・ところとするためには「社会科学を全くつくりかえねばならぬ」と云いつつ、一方、「自然においては一切の運動が循環であるらしく見え」結局「精神及び観念のうちに革命はつくられねばならぬ」と帰結した道行の裡にかくされている。卓抜な洞察力にかかわらず自・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・更に二世紀というものは、自由意志の第一段の必然帰結たる信仰の自由の発達を促すために費された。我々の世紀はその第二段の必然帰結たる国民権を築こうと試みているのである。」「一八四〇年のフランスとは如何なる国であろうか。」「われわれにとっ・・・ 宮本百合子 「バルザックについてのノート」
・・・ところが、この作品のヒューマニズムの帰結なのである。「あらくれ」に同じ作者によって書かれている自分の家系の物語、愛子物語をあわせ読むと、舟橋氏のヒューマニズムが一般人間性の観念にあやまられ、血肉の情に絡まって今日、どのような洞に頭を・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・山本有三氏は、この根幹をなす生涯のテーマから出立して、更にその人間としてなすべきことの内容と経過とその帰結とを小工場主、小学校、中学校、大学等の教師、下級中級サラリーマン、勤労婦人の日常葛藤の裡に究求し描き出そうとする。戯曲において、題材は・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・文学の上で、とかくあらましな総括でつかわれるならわしだが、その人間性の具体の姿は、それぞれの植物がもっているような特質とその特質における共通性をももっているわけで、人間性もその発露は、自然主義が本能に帰結させたより遙に多角なものとしてうけと・・・ 宮本百合子 「リアルな方法とは」
出典:青空文庫