・・・ 夜業禁止や、時間制により、工場はある不幸な児童等は救はれたのであるが、尚、眼に見えざる場処に於ての酷使や、無理解より来る強圧を除くには、社会は、常に警戒し、防衛しなければならぬであろう。そして、積極的に彼等がいかなる、境遇に置かれつゝ・・・ 小川未明 「児童の解放擁護」
・・・いかに深く理解するかによって、その作品は、児童の真の友達となり忠告者となり、最もよき代弁者ともなるのであって、いまゝでの如く強圧することのかわりに、内部的に感奮興起せしむるに至るのであります。常に、いゝ作品は、強いられたる感激でなくして、実・・・ 小川未明 「新童話論」
・・・強制、強圧を排して、自治、自得に重きを置くはこのためです。 その最もいゝ例は、おじいさんや、おばあさんが、毎日、毎夜同じお話を孫達に語ってきかせて、孫達は、いくたびそれを聞いても、そのたびに新しい興味を覚えて飽きるを知らざるも、魂の接触・・・ 小川未明 「童話を書く時の心」
・・・ 支配下に強圧されて、職業意識にしかのみ生きない教師等が、なんで、児童を善く感化し、これに、真理と道義の観念を与えることができましょう。 私達は、知りつゝ出来ずにいるが、児童の教育に、その先生を選択しなければならぬごとく、書物を求む・・・ 小川未明 「読むうちに思ったこと」
・・・そのもっとも根本的な点は国際間の複雑な利害矛盾の調整は、封建的で、また資本主義的な強圧であるナチズムやファシズムでは、できなかったという事実である。もっと進歩した、もっと合理的な方法でなくては――ただ殺戮、侵略、武力では、国際間の問題は解決・・・ 宮本百合子 「明日の知性」
・・・戦時中日本の作家の大部分は侵略戦争の協力者であったし、民主的な作家は強圧されていた生活からぬけたばかりで、いわゆる「浄らかな手」で書かれた新しい歴史の展開にふさわしい文学作品が求めにくかった。そこでその手が血に染んでいないことだけはたしかな・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
最近よんだものの中で「強制収容所の十三ケ月」ヴォルフガング・ラングホフ著・舟木重信、池宮秀意共訳「巣の中の蜘蛛」千田九一訳などからつよく印象づけられました。はナチスの非人間的な強圧に対してドイツの民主的な人々がどんなにたた・・・ 宮本百合子 「相当読み応えのあったものは?」
・・・事情がからみ合っているのであるが、主なものはプロレタリア文学運動の指導方針の中にあった政治と文学との関係を見る点が文化主義的なものの影響と、当時のプロレタリア作家に未だ不足していた実力、権力の側からの強圧に対する受動的な態度等が相互的に関係・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
出典:青空文庫