・・・大多数が支配階級の附属たり、また擁護者たることを甘んずるとしても、芸術家が正義の感激から、被搾取階級のために、戦わずして止むべきかは、一にその人の良心に依ることです。 芸術に於て、プロレタリアの作家の出現は、すでに必然の真理とします。た・・・ 小川未明 「街を行くまゝに感ず」
・・・旋風の起るのも、目に見えぬ眷属が擁護して前駆するからの意味である。飯綱の神は飛狐に騎っている天狗である。 こういう恐ろしい飯綱成就の人であった植通は、実際の世界においてもそれだけの事はあった人である。 織田信長が今川を亡ぼし、佐木、・・・ 幸田露伴 「魔法修行者」
・・・古典擁護に違いない。フランスの伝統を誇っているだけなんですよ。うっかり、だまされるところだった。」「いや、いや、」私は狼狽して、あぐらを組み直した。「そういう事は無い。」「秩序って言葉は、素晴しいからなあ。」少年は、私の拒否を無視し・・・ 太宰治 「乞食学生」
・・・このことは、民族の理性を守る仕事であり、人権擁護のためのたたかいのまぎれもない一面である。〔一九五〇年十二月〕 宮本百合子 「新しいアカデミアを」
・・・世界民主主義婦人連盟、反ファシスト同盟、人権擁護同盟そのほかに属している婦人たちの数も少くない。これらの婦人たちが切実に要求しているのは平和であり、民主的であってゆたかな生活の安定であった。その事実を選挙によって表現し、政策をその方向に動か・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・日本のわたしたちは、憲法の抽象的な人権擁護の文句を、実質のあるものにしてゆこうと、計画的に努力していないでしょうか。「日本人ほど抽象的な議論の好きな国民はない」という言葉に筆者は同感されています。それは一部には当っております。たとえば、・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
・・・だから若い進歩的な人々は、ただ親を――古い時代を論破するという段階からはずっと進みでているわけで、休暇中に国へ帰っている学生たちの仕事は、その土地での生活擁護のいろいろな活動に入っていって、実際に土地の住民としての親が苦しんでいる問題を解決・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・の存在は不可能であることを明瞭にしてゆくにつれ、日本の文化知識人の間に、文化擁護の欲求が湧いた。 一九三五年に京大におこった瀧川教授事件を動機として「学芸自由同盟」が組織され、一九三六年には小松清によって、その前年の夏、パリに開かれた文・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」
・・・ 一九三三年ナチスが政権をとってのち、フランスを中心としてヨーロッパ、アメリカには反ファシズム文化擁護の大運動がおこっていた。 一九三四年八月十七日から半月の間モスクで「五十二の民族、五十二の言葉、五十二の文学」を一堂にあつめて第一・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」
・・・こういう問題も、わたしたちは、人民の基本的人権の擁護とブルジョア的な法律適用による裁判が果して公正なものであるかどうかについての絶え間ない注目とを基礎にして、判断してゆく必要がある。参議院の引揚援護委員会も吉村隊事件ではいかがわしい委員会の・・・ 宮本百合子 「「委員会」のうつりかわり」
出典:青空文庫