・・・「すると僕なんぞも、今に、とおふい、油揚、がんもどきと怒鳴って、あるかなくっちゃならないかね」「華族でもない癖に」「まだ華族にはならないが、金はだいぶあるよ」「あってもそのくらいじゃ駄目だ」「このくらいじゃ豆腐いと云う資・・・ 夏目漱石 「二百十日」
・・・ さて、むかし、とっこべとら子は大きな川の岸に住んでいて、夜、網打ちに行った人から魚を盗ったり、買物をして町から遅く帰る人から油揚げを取りかえしたり、実に始末におえないものだったそうです。 慾ふかのじいさんが、ある晩ひどく酔っぱらっ・・・ 宮沢賢治 「とっこべとら子」
・・・ さて、むかし、とっこべとら子は大きな川の岸に住んでいて、夜、網打ちに行った人から魚を盗ったり、買物をして町から遅く帰る人から油揚げを取りかえしたり、実に始末におえないものだったそうです。 慾ふかのじいさんが、ある晩ひどく酔っぱらっ・・・ 宮沢賢治 「とっこべとら子」
・・・それから次は油揚です。油揚は昔は大へん供給が充分だったのですけれども、今はどうもそんなじゃありません。それで、実はこれは廃れた食物であります。成分は蛋白質が二二パアセント、脂肪が十八ポイント七パアセント、含水炭素が零ポイント九パアセントです・・・ 宮沢賢治 「茨海小学校」
出典:青空文庫