・・・勿論異教徒たる乗客の中には一人も小天使の見えるものはいない。しかし五六人の小天使は鍔の広い帽子の上に、逆立ちをしたり宙返りをしたり、いろいろの曲芸を演じている。と思うと肩の上へ目白押しに並んだ五六人も乗客の顔を見廻しながら、天国の常談を云い・・・ 芥川竜之介 「少年」
・・・ ところが祭壇の下オーケストラバンドの右側に、「異教徒席」「異派席」という二つの陶製の標札が出て、どちらにも二十人ばかりの礼装をした人たちが座って居りました。中には今朝の自働車で見たような人も大分ありました。 私もそこで陳氏と並んで・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
・・・「学生と異教徒、百姓と著述家の上には、その生活の一歩ごとに労働者をかくも抑圧し圧迫するその同じ闇の力が跳梁跋扈していることを理解し、また感ずるであろう。」〔一九三二年十二月〕 宮本百合子 「文学に関する感想」
出典:青空文庫