過般、榎本文部大臣が地方官に向って徳育の事を語り、大臣は儒教主義をとる者にして、いずれ近日儒教の要を取捨して、学生のために一書を編纂せしむべしとのことなり。然るに、徳教書編纂の事は、先年も文部省に発起して、すでに故森大臣の・・・ 福沢諭吉 「読倫理教科書」
・・・万葉集以前の古事記や日本書紀の中で、最初に描かれた女性であるイザナミノミコトは、古事記を編纂させた人は女帝であったにもかかわらず、それを書いた博士たちの儒教風な観念によって、男尊女卑の立場においてかかれている。 万葉集は、この歌集の出来・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・その人はこの頃大規模な辞書――百科全書を編纂していた。彼女の書店で、若しか一人若い筆の立つ女を助手として入用ではないだろうか。彼女自身役に立てる道はなくても、同じ仕事の他の方面を分担している人々が、万一需めているかもしれない。――「ああ・・・ 宮本百合子 「沈丁花」
・・・百万円をかけて、日本文化大観を編纂するのもよいであろう。しかしこの事業内容が発表された時、先日来、山川菊栄女史によって発表されていた現代日本の女学生気質についての批判をおのずから思いおこした人が、決してすくなくなかったであろうと思う。 ・・・ 宮本百合子 「世界一もいろいろ」
・・・から、今日のせわしない空気に対して、そういう手紙の編纂掲載は時日からいって、まだ時機が早いというのならば、それは当っていると思う。けれども「思想性」がないから、という片づけかたには、それを掲載するしないにかかわらず、文化発展のための蓄積・文・・・ 宮本百合子 「「どう考えるか」に就て」
・・・そこへこのたび近代思想社から文芸評論集編纂の話が出て、解放社の『歌声よ おこれ』は同社と協議の上絶版として、その主要な部分がこちらに再録されることになった。 つけ加えられた「一九四七年の文壇」以下はわたしたちは外国文学を自分たちの人生と・・・ 宮本百合子 「はしがき(『文芸評論集』)」
・・・ゴーリキイはロシア革命史の編纂委員長であった。また、工場史の編纂責任者であった。人類の希望を集めて新しく建設されつつある社会の中で、ゴーリキイは婦人が新しい発展的タイプとして立ち現れて来ていることを充分理解したのである。ゴーリキイがかつて最・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
出典:青空文庫