・・・みなさんは朝から水泳ぎもできたし、林の中で鷹にも負けないくらい高く叫んだり、またにいさんの草刈りについて上の野原へ行ったりしたでしょう。けれどももうきのうで休みは終わりました。これからは第二学期で秋です。むかしから秋はいちばんからだもこころ・・・ 宮沢賢治 「風の又三郎」
・・・朝から水泳ぎもできたし林の中で鷹にも負けないくらい高く叫んだりまた兄さんの草刈りについて行ったりした。それはほんとうにいいことです。けれどももう休みは終りました。これからは秋です。むかしから秋は一番勉強のできる時だといってあるのです。ですか・・・ 宮沢賢治 「風野又三郎」
・・・ けれ共、この婆には、実の子が二人もあって皆男で今は村で百姓をして居るのだから、こんな草刈をたのまれたり、人の水仕事を手伝ったりしないで、かかり息子の家で孫の守りでも仕て居たらすみそうに思えた。「お婆さん。何故、息子の処へ居ない・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・地方の農村の国民学校が、すべて学業よりも草刈り、繩作りと軍需供出にせめたてられていた最中に、先生としてすべての労作に耐えて来ました。 良人が亡くなられてから、上京して暫く国民学校につとめ、近頃は大町さんの最も愛する仕事、日本の働くすべて・・・ 宮本百合子 「婦人の皆さん」
三春富士と安達太郎山などの見えるところに昔大きい草地があった。そして、その草地で時々鎌戦さが行われた。あっち側からとこっち側からと草刈りに来る村人たちは大方領主がそれぞれちがっていて、地境にある草地の草を、どっちが先に刈る・・・ 宮本百合子 「村の三代」
・・・女子青年が先に立って、婦人の馬耕競技会、草刈競技会、その他農業労働の重い部分を、どんなに女が成し遂げて行くかということを競争させられたし、農村における軍需食糧の供出は、又馬糧その他の供出は、都会に生活している婦人が察しもつかない程猛烈なもの・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫