・・・lasiquinTultulTurrialbaTjilering このほかにまだコマ・カンプ型、クジウ型およびイワウ型があるがこれは今回は略し、他日の機会に譲ることとする。 この表中にヨーロッ・・・ 寺田寅彦 「火山の名について」
・・・あのくらいの天才を抱きながら終に不折の熱心に勝を譲るかも知れぬなど話しているうち上野からの汽車が隣の植込の向うをごん/\と通った。隣の庭の折戸の上に烏が三羽下りてガー/\となく。夕日が疊の半分ほど這入って来た。不折の一番得意で他に及ぶ者のな・・・ 寺田寅彦 「根岸庵を訪う記」
・・・はこの場合総合の過程を読者に譲ることによって俳諧の要訣を悉しているであろう。 発句は完結することが必要であるが連俳の平句は完結しないことが必要である。なんとなれば前句と付け句と合わせてはじめて一つの完結した心像を作ることが付け句の妙味で・・・ 寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
・・・このような差別の起こった一つの原因は、俳句の詩形が極度に短くなったために、もし直接な主観を盛ろうとすると、そのために象徴的な景物の入れ場がなくなってしまうので、そのほうを割愛して象徴的なものに席を譲るようになり、従って作者の人間は象徴の中に・・・ 寺田寅彦 「俳句の精神」
・・・たとえば自分の祖母にやさしい言葉をかけるとか、乗合馬車で座席を譲るとかいうくらいな事でもいいが、とにかく何かしないではおかないようにするがいい」という一節がある。これを読んだ時になるほどと思った。昔から世界のいろいろな人種の間に行なわれた禁・・・ 寺田寅彦 「丸善と三越」
・・・ これらについてはなお述べ尽くさないところもあるが、紙面の制限のためにこれまでにとどめて余事は後日に譲ることとする。もしできれば若干の実例について分析を試みたいと思うのである。 五 連句心理の諸現象 連句制作・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
・・・ これらの読後の感想についてはしるしたい事がいろいろあるが、この稿とは融合しない性質のものだから、それは別の機会に譲る事にした。 寺田寅彦 「笑い」
・・・狭き出口を争うが為めか、烟の量は見る間に増して前なるは押され、後なるは押し、並ぶは互に譲るまじとて同時に溢れ出ずる様に見える。吹き募る野分は真ともに烟を砕いて、丸く渦を巻いて迸る鼻を、元の如く窓へ圧し返そうとする。風に喰い留められた渦は一度・・・ 夏目漱石 「幻影の盾」
・・・その説はこれを他日に譲る。 小学教育の事 四 方今、世の識者が小学校の得失を論じ、その技芸の教授を先にして道徳の教を後にするを憂る者なきに非ず。たとえば、天文、地理、究理、化学等は技芸なり。孝悌忠信は道徳なり。究理化学・・・ 福沢諭吉 「小学教育の事」
・・・ 我封建の時代、百万石の大藩に隣して一万石の大名あるも、大名はすなわち大名にして毫も譲るところなかりしも、畢竟瘠我慢の然らしむるところにして、また事柄は異なれども、天下の政権武門に帰し、帝室は有れども無きがごとくなりしこと何百年、この時・・・ 福沢諭吉 「瘠我慢の説」
出典:青空文庫