・・・近頃海外では農芸に電気を応用する事がようやく盛んになろうとしているから、稲妻の伝説と何か故事つけが出来そうである。 九 炭 木材を蒸焼にすると大抵の有機物は分解して一部は瓦斯になって逃げ・・・ 寺田寅彦 「歳時記新註」
・・・先ず農業の方面ではつとに農芸物理学という学科が出来ているくらいであるが、今後まだどれだけ発展するか予期し難いように見える。自分の知っている狭い範囲だけでも面白い問題が沢山ある。例えば穀物の研究でも少し詳細にするとすれば、米粒の堅さとか、比重・・・ 寺田寅彦 「物理学の応用について」
・・・ 大学は農科へ入学して、農芸化学を修めていたが、そのうちにはげしい神経衰弱にかかって学校を休学した。それきりどうしても再び出ようとは言わなかったのを、私が留学から帰った時に無理にすすめて出る事にはなったが、それでもやはり学校は欠席がちで・・・ 寺田寅彦 「亮の追憶」
・・・しかしこれは極大体の特色で、殊にこの頃のように農芸の事が進歩するといろいろの例外が出来てくるのはいうまでもない。○くだものの大小 くだものは培養の如何によって大きくもなり小さくもなるが、違う種類の菓物で大小を比較して見ると、准くだもので・・・ 正岡子規 「くだもの」
出典:青空文庫