・・・沢庵漬の重石程な岩石の破片が数町離れた農家の屋根を抜けて、囲炉裏へ飛び込んだ。 農民は駐在所へ苦情を持ち込んだ。駐在所は会社の事務所に注意した。会社員は組員へ注意した。組員は名義人に注意した。名義人は下請に文句を言った。 下請は世話・・・ 葉山嘉樹 「坑夫の子」
・・・は、翻る赤旗とともに、すべてこういうプロレタリア、農民への重石をはねのけ、猛然と文盲撲滅をはじめた。工場の中、兵営の中、農村、町、ソヴェトの中、教会の中をもいとわず、共産青年同盟員やピオニェールが、アルファベットのカードをこしらえて、七十の・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・過去十数年に亙った政府の精神圧殺方針に対して堅い内部抵抗の力を保っていて、今日、将に、その重石がとれ、生新溌剌な圧力の高い迸りを見せている部分も、明らかに存在している。だがこの節の一般文化面を見わたしたとき、私たちの率直な感想は、どうだろう・・・ 宮本百合子 「「どう考えるか」に就て」
・・・第一に心づくことは、ドイツもフランスも、ロシアも、新教と旧教、ギリシャ正教などのちがいこそあれ、いずれも一般の常識は深い宗教的影響をうけていて、教育そのものが、宗教的教義の重石に窒息されている国柄であったということである。そういう宗教の独断・・・ 宮本百合子 「若き精神の成長を描く文学」
出典:青空文庫