・・・その説に従えば、骨董は初は古銅器を指したもので、後に至って玉石の器や書画の類まで、すべて古いものを称することになったのである。なるほど韓駒の詩の、「言う莫かれ衲子の籃に底無しと、江南の骨董を盛り取って帰る」などという句を引いて講釈されると、・・・ 幸田露伴 「骨董」
・・・そこに小さな銅器工の仕事場があった。暗い仕事場の中には異様に青い眼をもった一人の縮毛の男がいて、鍋に錫をかけている。――が、ゴーリキイは、勤労者の若者の炯眼で見破った。労働者には似ていない。――ゴーリキイは銅器工に訊いた。「こちらに仕事・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・そこは小さな銅器工の仕事場であった。そこには異様に青い眼をもった縮毛の男がいた。ゴーリキイは、社会の下積の者の炯眼で、一目でこれが真実の労働者ではないことを観破したのであった。 この端緒から、当時のカザンに於ける急進的な学生、インテリゲ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
出典:青空文庫