・・・文学そのものが客観的現実に対する眼光の確かな洞察力を失い、創造力の豊かな社会的地盤を失った時、よりイージーで小規模な人生と芸術への主観的角度をもつ随筆の流行を見るのであるから、この意味で科学者の無方向な随筆活動への参加は二重の力で文化を下り・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・三月ころから後いわゆるカムバックした中堅作家のほとんど全部がジャーナリズムの安易さによって活動しはじめて、自身にとっての真の文学的発展のモメントは、かえってイージーに流してしまっている点は、こんご新しい文学の発展について語るについても、けっ・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・ディフォーメイションがデッサンの不確さを蔽うというイージーな画業への害悪を取上げてみても真面目な画家ならそこに疑問を発見するだろうと思う。〔一九四七年六月〕 宮本百合子 「ディフォーメイションへの疑問」
出典:青空文庫