出典:青空文庫
・・・この話を聞くと私は何となくボルツマンを思い出す。しかしボルツマンは陰気でアインシュタインは明るい。 音楽の中では古典的なものを好むそうである。特にゴチックの建築に譬えられるバッハのものを彼が好むのは偶然ではないかもしれない。ベートーヴェ・・・ 寺田寅彦 「アインシュタイン」
・・・ 私は、ボルツマンやドルーデの自殺の原因が何であるかを知らない。しかし彼らの死を思うたびに真摯な学者の煩悶という事を考えない事はない。 学説を学ぶものにとってもそれの完全の程度を批判し不完全な点を認識するは、その学説を理解するために・・・ 寺田寅彦 「相対性原理側面観」
・・・分子やエレクトロンの数が有限である間はエントロピーは問題にならず、変化は単義的で可逆であるが、これが無限になって力学が無能となる時に、始めてエントロピーが出て来る。ボルツマンがこのような混乱系の内部の排置の公算をエントロピーと結びつけたのは・・・ 寺田寅彦 「時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ」
・・・マクスウェル、ボルツマン、アーレニウスらを悩ました宇宙の未来に関するなぞを解くべきかぎとしての「第三第四の方則」がそこにもしや隠れているのではないか。 このような可能性への探究の第一歩を進めるための一つの手掛かりは、上記のごとき統計的質・・・ 寺田寅彦 「量的と質的と統計的と」
・・・ファラデーや現代のラザフォードやウードのごときはLK軸の面に近く位している。ボルツマン、プランク、ボーア、アインシュタイン、ハイゼンベルク、ディラックらはLS面に近い各点に相当する。ただ L = 0 すなわちSKの面内に座する著名の大家を物・・・ 寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」