デマ例文一覧 16件

  1. ・・・「十万円あれば、高利貸に二千円借りる必要はなかろうじゃないか。デマだよ」「十万円は定期で預けていて、引き出せんのじゃないかね」「しつこいね。僕は生れてから今日まで、銀行へ金を預けたためしはないんだ。銀行へ預ける身分になりたいとは・・・<織田作之助「鬼」青空文庫>
  2. ・・・君、こりゃデマだよ」「えッ? デマですか。誰が飛ばしたんです」「俺だよ、俺がこの部屋で飛ばしてやったんだよ。この部屋はデマのオンドコだからね。エヘヘ……」「オンドコ……?」「温床だよ」 そう言ってキャッキャッと笑っていた・・・<織田作之助「四月馬鹿」青空文庫>
  3. ・・・武田さんはよくデマを飛ばして喜んでいた。南方に行った頃、武田麟太郎が鰐に食われて死んだという噂がひろがった。私は本当にしなかった。武田麟太郎が鰐を食ったのなら判るが、鰐に食われるようなそんな武麟さんかねと笑った。たぶん武田さんが自分でそんな・・・<織田作之助「武田麟太郎追悼」青空文庫>
  4. ・・・本当に死んでしまったのかとそのアパートを訪れてみると、佐伯はまだ生きていて、うっかり私が洩らしたその噂をべつだん悲しみもせず、さもありなんという表情で受けとり、なにそのおれが死んだというデマは実はおれが飛ばしてやったんだと陰気な唇でボソボソ・・・<織田作之助「道」青空文庫>
  5. ・・・こんなのがデマの根になるのではないか――と。『ええ』といっておけば好いのかもしれない。それともまた『彼は立派な作家です』と言えばいいのか。ぼくはいままでほど自由な気持で君のことを饒舌れなくなったのを哀しむ。君も僕も差支えないとしても、聞く奴・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  6. ・・・私は三度も点呼を受けさせられ、そのたんびに竹槍突撃の猛訓練などがあり、暁天動員だの何だの、そのひまひまに小説を書いて発表すると、それが情報局に、にらまれているとかいうデマが飛んで、昭和十八年に「右大臣実朝」という三百枚の小説を発表したら、「・・・<太宰治「十五年間」青空文庫>
  7. ・・・そうして凡庸な探偵はいつも見当ちがいの所へばかり目をつけて、肝心な罪人を取り逃がしている、その間に名探偵は、いろいろなデマやカムフラージに迷わされず、確実な実証の連鎖をじりじりとたぐって、運命の神自身のように一歩一歩目的に迫進するのである。・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  8. ・・・そうすれば、いろんなデマはうそで農民の幸福というものはどんなものであるか分るし、そのために闘い、プロレタリアと共に勝利するだけがその幸福をわがものとする道だということがわかる。 農村、工場の真に闘っている人の中からソヴェト見学団の送られ・・・<宮本百合子「今にわれらも」青空文庫>
  9. ・・・文化活動者として私をわれわれの同志から、大衆から切りはなそうとする悪辣きわまるデマです。敵は、私を二年も三年も監禁する理由を発見し得なかったので、今度は体は自由でも仕事のやってゆけぬようにしようとする。 検束されていた間、それから六月二・・・<宮本百合子「逆襲をもって私は戦います」青空文庫>
  10. ・・・それどころか、アメリカから買い込んだメリケン粉袋が埠頭に積んであるというデマさえ飛んだ。 これは、富農と買占人の奸策が成功した結果であった。 前の年から、ソヴェト政府が累進税で富農の私有財産制への実際上の復帰を統制しはじめた。その復・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  11. ・・・……ブル新、盛に『コップ』をデマっているらしいよ」「ほか、無事かしら」「わかんない。……でも」 一寸言葉を区切り、やや早口で、「――無事らしいね」 彼が誰のことを云っているか分って、私は口に云えぬ感じに捕えられ、黙って大・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  12. ・・・ソヴェトの防衛ということは、わたしたちが外からデマを通じて理解するよりも、はるかに基本的、人権的問題ですから。 たとえば、社会主義社会の子供の教育は、階級の意識で画一されているという点が指摘されるけれども、私にいわせれば、子供を教えない・・・<宮本百合子「質問へのお答え」青空文庫>
  13. ・・・ ――……実にデマが利いているんだなあ。 ――嘘かい? ――ソヴェトのプロレタリアートや彼等の党は偏執狂じゃないよ。あらゆる人間の才能を十分発揮させようとしているのだ。ただ、ソヴェトは今特殊な歴史的過程を生きつつある。  緊・・・<宮本百合子「ソヴェトの芝居」青空文庫>
  14. ・・・これはデマとして大した利用価値はなかったようだ。 下山事件は二週間たった今日やっと自殺説が表面に出されてきている。この事件で検事局が警視庁の捜査本部へ殺人の方向で進めてくれと特に注文をつけ、捜査本部はかならずしも同調しなかったことは世人・・・<宮本百合子「犯人」青空文庫>
  15. ・・・ 国際帝国主義によって反ソデマがますます活溌にまかれるとき、題材は第二次大戦前にとられているにしろ、ソヴェト同盟そのものに対する信頼をひろめ、そのことによって日本の革命の前途を確信させるためにもまた一つの階級的意義をもつと信じます。・・・<宮本百合子「文学について」青空文庫>
  16. ・・・ 私をついに釈放した官憲は、出てから後、私と大衆とを切りはなし、私の積極性を奪おうとして、いろいろのデマを放った。父親が詫り状を書いたから許されたとか、私がもう仕事をやめて引込むといったとか。いまなお彼らの陰険な手は私のまわりから去って・・・<宮本百合子「ますます確りやりましょう」青空文庫>