うき【泥/埿】
泥深い地。沼地。「数ならぬみくり(=水草ノ名)や何の筋なれば—にしもかく根をとどめけむ」〈源・玉鬘〉
うき‐いね【浮(き)稲】
イネの品種で、水位が上昇したとき、急速に生長して葉や穂先を水面に出すことのできるもの。草丈は数メートルから十数メートルになることもある。東南アジアなど洪水の多い低湿地で栽培される。
うき‐くさ【浮(き)草/浮き萍/萍】
1 サトイモ科の多年草。水田や池沼に浮遊し、茎は扁平な葉状で、長さ5〜6ミリ。表面は緑色、裏面は紫色で細い根を下に垂れる。3、4個集まって浮かび、葉の裏面に白い花をつけることがある。ねなしぐさ。...
うきくさ‐かぎょう【浮(き)草稼業】
浮草のように転々として一つの場所に落ち着かない職業。また、その生活。
うきしま‐が‐はら【浮島ヶ原】
静岡県東部、愛鷹山(あしたかやま)南麓の田子ノ浦に沿う低湿地。富士川の戦いの際、平維盛(たいらのこれもり)の軍勢が水鳥の羽音に驚いて逃げた所という。[歌枕]「富士の嶺にめなれし雪の積もりきておの...
うき‐ね【浮き根】
《「うき」は泥地の意》泥の中に生えている菖蒲(あやめ)などの根。和歌で「憂き音(ね)」と掛けて用いる。「—のみ袂(たもと)にかけしあやめ草引き違(たが)へたる今日ぞうれしき」〈栄花・浦々の別〉
うき‐め【浮き海布】
水面に浮いている海草。多く和歌で「憂き目」に掛けて用いる。「—刈る伊勢をの海人(あま)を思ひやれ藻塩(もしほ)垂るてふ須磨の浦にて」〈源・須磨〉
うき‐やがら【浮矢柄/浮矢幹】
カヤツリグサ科の多年草。沼や沢に生え、高さ1〜1.5メートル。根茎は泥中をはい、先に塊茎をつける。茎は三角柱状。夏、茎の頂に細長い葉を出し、穂が数個つく。
うきよ‐こうじ【浮世小路】
裏長屋など、浮世の縮図のような小路。また、世間、世の中の意にもたとえていう。→浮世小路(うきよしょうじ)「—の何軒目に狭苦しく暮らした時とは」〈漱石・草枕〉
うきよ‐ぞうし【浮世草子】
江戸時代の小説の一種。天和2年(1682)刊の井原西鶴の「好色一代男」以後、元禄期を最盛期として約80年間、上方(かみがた)を中心に行われた小説の一種。仮名草子と一線を画した写実的な描写が特色で...