・・・大学士はひどくびっくりしてそれでも笑いながら眼をさまし寒さにがたっと顫えたのだ。いつか空がすっかり晴れてまるで一面星が瞬きまっ黒な四つの岩頸がただしくもとの形になりじっとならんで立っていた。 野宿・・・ 宮沢賢治 「楢ノ木大学士の野宿」
・・・ いきなり奥の扉が、がたっとあきました。「召喚人はお互話しすることはならん。おい、おまえはこっちへはいって居ろ。」 じいさんは呼ばれてよろよろ立って次の室へ行きました。そう云われて見ると、なるほど次の室ではロザーロが誰かに調べら・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
・・・キッコの机はたびたび誰かにぶっつかられて暗礁に乗りあげた船のようにがたっとゆれました。そのたびにキッコの8の字は変な洋傘の柄のように変ったりしました。それでもやっぱりキッコはにかにか笑って書いていました。「キッコ、汝の木ペン見せろ。」に・・・ 宮沢賢治 「みじかい木ぺん」
出典:青空文庫