・・・嘉永の季、亜美利駕人、我に渡来し、はじめて和親貿易の盟約を結び、またその好を英、仏、魯等の諸国に通ぜしより、我が邦の形勢、ついに一変し、世の士君子、皆かの国の事情に通ずるの要務たるを知り、よって百般の学科、一時に興り、おのおのその学を首唱し・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾の記」
・・・「なるほどそれに狩猟だなんて、ずいぶん高尚な学科もおやりですな。私の方ではまあ高等専門学校や大学の林科にそれがあるだけです。」「ははん、なるほど。けれどもあなたの方の狩猟と、私の方の狩猟とは、内容はまるでちがっていますからな、ははん・・・ 宮沢賢治 「茨海小学校」
・・・って居ってもよかったのが、勇ましい髪形をしなければならなくなったり、千人針に動員されたことから次第に、動員の程度がひどくなって、終りには学校工場に働いたり、また実際に工場に行って暮したり、耕作したり、学課は殆ど出来ない状態でこの二年ほどが過・・・ 宮本百合子 「美しく豊な生活へ」
・・・心理学という学課が入って来た五年生の時、野上彌生子の「二人の小さきァガボンド」が、『読売新聞』に掲載された。この作品で、はじめて野上彌生子という作家も知ったのであった。 メレジェコフスキーの「トルストイとドストイェフスキー」などを、自分・・・ 宮本百合子 「女の学校」
・・・ 各学課が重箱式に、機械的に分けられ、つみ重ねられていない。一つの題目は次の一つの題目へとかたく生活的な結びつきでのびて行くから、実際生活にすぐ役立つ勉強法だ。子供の頭は、すぐ手元の日常生活を基礎にそれを解剖し、批判し、新しく、綜合して・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・ 女学校の学課はその混乱に対して全く何の力もなかった。大正初めのその頃文学好きな人は殆どみんな読んだワイルドの作品だのポウだの、武者小路実篤の書いたものを手に入る片はじから熱心に読み、自分から書くものはと云えば、手に負えない内心の有様と・・・ 宮本百合子 「時代と人々」
・・・この先生が学課の単調さに苦しんでいる私の知識慾に流れ口を見出すきっかけをつけてくれられた。ヘッケルの宇宙の謎という本を教えて、文学以外の分野へ読書の力をひろめても下すった。 こういう時代を思いかえすと、私は震災で焼けてしまった昔のお茶の・・・ 宮本百合子 「青春」
・・・字引をひくと、生態学は生物と外囲及び生物と他の生物との関係を研究する学科、という説明がある。そういう自然科学の一部門の用語である。「結婚の生態」と云うつなげかたも何か妙だが、そこにはその小説の作者が、結婚というごく社会的な内容の対象を、テー・・・ 宮本百合子 「生態の流行」
・・・しゃんとした友達や、面白い学課や……。 古ぼけて歪み、暗くて塵だらけだった建物の中で、餓え渇いて、ガツガツと歯をならしていたあらゆる感情、まったくあらゆる感情とほか云いようのない種々様々な感情の渇仰が、皆一どきに満たされ、潤されるのを感・・・ 宮本百合子 「地は饒なり」
・・・ 先生が、教える学課を何かの機縁にして、一人一人の生徒が自己を啓発して行くように努力されたことは、公平に、時を惜まず、箇人的な質問に応じられたことでも明であった。 学課についてでも、課外の読書に関してでも、或はもっとプライヴェー・・・ 宮本百合子 「弟子の心」
出典:青空文庫