・・・「ぼくはねえ、センダードのまちの革を染める工場へはいっていたよ。」「センダード。どうしてあんなとこまで行ったんだ。そして今夜またぼくにセンダードへ行けというのかい。」「そうじゃないよ。」「ではどうなんだ。第一どうしてあんなと・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
・・・ 三通りの発展の段階があるにしても、唯一つ、最も基本的で共通な点は、民主社会においては、婦人が、全く人口の半分を占める男子の伴侶であって、婦人にかかわるあらゆる問題の起源と解決とは常に、男子女子をひっくるめた人民全体の生活課題として、理・・・ 宮本百合子 「合図の旗」
・・・ 世界文学の範囲にひろく眺めて、ルポルタージュというジャンルは、社会層のテムポ速い飛躍と複雑の増大によって、確に来るべき文学に従前よりは重大な場所を占めるであろうと考えられる。 日本で報告文学が、小説以前の現実状況の報告文学としての・・・ 宮本百合子 「明日の言葉」
・・・ 各国の有業者の人口に対する比率で見ると、婦人有業者の第一位を占めるのはフランスであり、次がドイツ、続いて日本の順である。男の有業者との割合では、男五九・一に対する女三一・九で、婦人の働きての数の多いことでは日本がほとんど世界第一位を占・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・その投資を出来るだけ利まわりよく回収するためには、一冊の雑誌が高くてもどっさりうれるようにしなければならず、売れる、ということのためには、日本の人口の大部分を占める人々――大衆のこのみに合うことが必要となって来る。大衆のこのみとはどういうも・・・ 宮本百合子 「新しい文学の誕生」
・・・ 無産派文学の運動――すべての国で人民の多数を占める勤労階級の生活とその感情を表現する文学が、従来のブルジョア階級の文学にかわるべきであるという考えは、第一次ヨーロッパ大戦の後、旧い権威の崩壊と中流社会のプロレタリア化を経験したすべての・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第三巻)」
・・・例えばどんなに税が高くあろうとも妻や妹はウビガンの香水を常用しているという部分の人々にはどういう感じをおこさせるかしらないが、都会の人口の大多数を占める下級中級の若いサラリーマン、勤労青年たちが、いささかの慰みとしてアパートの部屋でかけて聴・・・ 宮本百合子 「カメラの焦点」
・・・ 少女小説に筆を染める人々は丁度大学の教授よりも、小学校の教師の方が責任が重いと同じ様に、大した作をする人々よりも一層の注意と責任と思慮が必要なんです。 そして文筆も必して商売的でなくみっちりと重味のある考え深いしまった調子で書かな・・・ 宮本百合子 「現今の少女小説について」
・・・世界の多くの国々をみれば、人口の過半を占める婦人たちは、遙か昔に、自分たちの生活する社会の運営に参加している。そして、その自然な経過として、先ず身近な地方自治体への選挙、被選挙権の行使から、彼女たちの政治的発足をしている。イギリスでは一八六・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・夫人の結論は、民主的政治の実際というものはこういうものだから、日本の婦人はよく自覚して、議会で多数を占める可能性のある政党の候補者に投票すべきであるというのだった。 かたわらできいていて、わたしの心におさえがたい思いがわいた。果して婦人・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
出典:青空文庫