・・・既にブルジョアジーにとって脅威であった民衆の擡頭は、ブルジョアジーが貴族に対して擡頭したのと同じこと、否、貴族に代って権力を把り、貴族の行った総ての悪行を更に小型に没趣味に多数に再生産したブルジョアの醜行非道を、一層卑穢に而も下層階級の夥し・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・ 女をも不幸の荷い手として見ざるを得ないゴーリキイの育ったこういう環境と、息子が年頃になると小間使の小綺麗なのをあてがい、社交界の身分高い貴夫人と醜行を結ぶことを出世の緒として奨励したロシアの貴族階級の腐敗の中に育ち、それと闘ったトルス・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
・・・彼の周囲には、泥酔や喧嘩や醜行やが終りのない堂々めぐりで日夜くりかえされている。だが、それらすべては何のために在るのだろう。 スムールイは、麦酒を飲みながらしみじみとゴーリキイに云った。「お前がもう少し大きかったら、いろんなことを教・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・彼の周囲の生活の中には、泥酔や喧嘩や醜行やが終りのない堂々めぐりで日夜くりかえされているのだが、それらすべては何のために在るのだろう。 当時、ゴーリキイは、汽船の料理番スムールイに読むことをおそわった。初めはマカロニ箱にこしかけて、『ホ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
出典:青空文庫