・・・ そんなに書きためられていたソヴェト同盟についてのいきいきした話が一九三二年からのちのどの本にも集録されないできた理由はここにある。わたしたちの人民的な自由とともにソヴェトの物語も檻に入れられていた。 今日の日本には自分たちの眼でソ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『モスクワ印象記』)」
・・・ けれども、五十九人の作者、約七百余首の作品が収録されているというこの『集団行進』の中に婦人の作家はたった二人であること。これは、私達によろこびより寧ろ深刻な警告を与える事実であると思います。『主婦之友』、『婦人倶楽部』などの短歌欄に投・・・ 宮本百合子 「歌集『集団行進』に寄せて」
・・・という小説は三一書房という本屋から出たいろいろな人十七人の『われらの成果』という小説集の中に集録されました。その小説集には島木健作「癩」、平田小六という「囚われた大地」という長篇小説をかいた元隆章閣の人などもはいっているし、婦人作家では私の・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・に至って書きのこす日記の一冊、一枚のメモ、それは出版経営者としてのソフィヤ夫人が洩すところなく「私の出版」に収録しようと欲するところであり、而も、トルストイの親友と称する連中も亦「未発表」の何ものかを獲ようととびめぐっている。トルストイは「・・・ 宮本百合子 「ジャンの物語」
・・・旅行記は小説ではない訳であるが、私の作家としての生涯に、このような旅行記を書いた時代の生活は忘られないものであるし、同時に、今日では、五六年前に書かれた旅行記も却って或る味いをもって読まれるので、収録することになった。「雑沓」はこれから・・・ 宮本百合子 「序(『乳房』)」
・・・という諸氏の感想が『文学評論』に集録されている。平林たい子氏が、その感想の中で「社会主義的リアリズムは日本の作家の間に漫然と使用されているような超階級的なスローガンではないらしい」といって「我々の現実の再検討によって」日本の現実に即した創作・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・ 手にとって見ると、ローザ・ルクセンブルグがヨーロッパ大戦中三年四ヵ月の間監禁生活を強いられていた、その期間にカール・リープクネヒトの妻にあてて書いた手紙が集録されたものであった。 ところどころ、それとなく拾い読みをしては私は激しい・・・ 宮本百合子 「生活の道より」
・・・その他少くない愛の詩が収録されていることも、当時のそのような事情とあわせ考えるとき、おのずから微笑ましく肯けるのである。『落梅集』が詩人藤村にとって、少くとも今日までのところは最後の詩集となっている。小諸生活、良人となり父となって境遇の・・・ 宮本百合子 「藤村の文学にうつる自然」
・・・この小説は後にソヴェトで革命文学の文集に集録された。五月〔中〕旬、前年の母の死によって中絶した取調べの続きだといって淀橋署に検挙された。十月。「日本共産党の外郭団体であるプロレタリア作家同盟の活動に従事し、共産主義を宣伝した」という・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ こんどはじめて、随筆集という形で一冊の本にまとまるにつけて『明日への精神』や『私たちの生活』に収録されている随筆のうちからいくつかを選び「郵便切手」そのほかの最近書いたものに、未発表のいくつかを加えた。「兄と弟」「書簡箋」「ベリンスキ・・・ 宮本百合子 「はしがき(『女靴の跡』)」
出典:青空文庫