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・・・井上正夫を浅草に出演せしむる橋渡しをする。同一座の作者となったが、二月目に意見の衝突をして飛び出し、その暮、秋月、川上、喜多村一座の作者となり、舞台監督をやる。 一九一六年。幕内の生活に堪えられず、これも三月目に逃げ出す。しみじみ自分の・・・
宮本百合子
「山本有三氏の境地」
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・・・それ等の人々は脂粉の気が立ち籠めている桟敷の間にはさまって、秋水の出演を待つのだそうである。その中へ毎晩のように、容貌魁偉な大男が、湯帷子に兵児帯で、ぬっとはいって来るのを見る。これが陸軍少将畑閣下である。 畑は快男子である。戦略戦術の・・・
森鴎外
「余興」