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・・・吾妻橋から川下ならば、駒形、並木、蔵前、代地、柳橋、あるいは多田の薬師前、うめ堀、横網の川岸――どこでもよい。これらの町々を通る人の耳には、日をうけた土蔵の白壁と白壁との間から、格子戸づくりの薄暗い家と家との間から、あるいは銀茶色の芽をふい・・・
芥川竜之介
「大川の水」
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・・・ある日、多田氏の平生窟より人おこせ、おのが庵の壁の頽れかかれるをつくろはす来つる男のこまめやかなる者にて、このわたりはさておけよかめりとおのがいふところどころをもゆるしなう、机もなにもうばひとりてこなたかなたへうつしやる、おのれは盗・・・
正岡子規
「曙覧の歌」