・・・また草の根をぶりぶりかき切るのも痛快なものである。かゆい所をかくような気がする。 いろいろの草の根の張り方にそれぞれ相違のある事にも気がつく。それらの目的論的の意義を考えてみるのもなかなかおもしろい。同じ面積を、時季によってちがった雑草・・・ 寺田寅彦 「路傍の草」
・・・ ベン蛙とブン蛙はぶりぶり怒って、いきなりくるりとうしろを向いて帰ってしまいました。しゃくにさわったまぎれに、あの林の下の堰を、ただ二足にちぇっちぇっと泳いだのでした。そのあとでカン蛙のよろこびようと云ったらもうとてもありません。あちこ・・・ 宮沢賢治 「蛙のゴム靴」
・・・柏の木大王がぶりぶりしてどなりました。「なんだと、にせものだからにせものと云ったんだ。生意気いうと、あした斧をもってきて、片っぱしから伐ってしまうぞ。」「なにを、こしゃくな。その方などの分際でない。」「ばかを云え、おれはあした、・・・ 宮沢賢治 「かしわばやしの夜」
・・・男はブドリを地面におろしながらぶりぶりおこり出しました。「お前もいくじのないやつだ。なんというふにゃふにゃだ。おれが受け止めてやらなかったらお前は今ごろは頭がはじけていたろう。おれはお前の命の恩人だぞ。これからは、失礼なことを言ってはな・・・ 宮沢賢治 「グスコーブドリの伝記」
・・・というわけはネネムはきちんと地面の上に立っていて紳士がネネムの耳をつかんでぶりぶり云いながら立っていました。「お前もいくじのないやつだ。何というふにゃふにゃだ。俺が今お前の耳をつかんで止めてやらなかったらお前は今ごろは頭がパチンとはじけ・・・ 宮沢賢治 「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」
出典:青空文庫