・・・ロシア文学の古典の中でも、いま日本に流行しているのは、プーシュキンやゴーゴリの作品でなく、その文学の世界が、永久の分裂で血を流しているドストイェフスキーであるという事情には、いまの日本のこの社会的な心理がかかわっている。解決のない人間の間の・・・ 宮本百合子 「新しい文学の誕生」
・・・のうまやにとじこめられていた人類の伸びようとする精神は、二十世紀はじめのフランスのデガダニストたちのように、遂にわが身一つを破り分裂させることにおいてではなく、発展させられる方向が社会主義のうちにこそあるということがわかった。二十世紀に入っ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)」
・・・ プロレタリアートの心持を書こうとして客観的現実と主観とが非弁証法的な分裂をとげたというのではない。「亀のチャーリー」は、生々したたくましい現実としてのプロレタリアートの日常に作用している革命性、そのための組織など書いていない。まし・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・それは、集団農場組織にさいして都会から派遣されてきた指導者とそこの富農とが階級的分裂をする。その心理的動機を個人的な恋愛問題嫉妬などで表現していることである。 カターエフに云わせれば、富農の妻が集団農場組織のために派遣された指導者に共鳴・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・空では数台の飛行機が分列式を行っている。 赤いプラカートの波! 波! 波! 丁度目の前を製糸工場、赤いバラの労働婦人群が通過するところである。女を台所から解放しろ!生産経済計画を実現しろ!五ヵ年計画を四年で!・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・やはりその人々は親子関係における基本的人権についての理解は古いままで、親の方だけ切離して社会問題に取上げて判定されたような分裂が起ってきやしないか。つまりこういうような殺人事件、詐欺とか強盗、そういう事件では社会の責任を指摘するでしょう。し・・・ 宮本百合子 「浦和充子の事件に関して」
・・・インターナショナルの高い奏楽と、空から祝いをふりまきつつ分列する飛行機のうなりがモスクワ市をみたした。 夜一時近く赤い広場は煌々たるイルミネーションと人出だ。朝から夕方までおびただしい人間の足の下にあった赤い広場の土はもうぽくぽくになっ・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 一、二! 一、二! 何々区ピオニェール分隊がどっしり重い金モールの分隊旗を先頭にクフミンストル・クラブの広間を行進して来た。 右、左! 右、左、止れ! 分列。中央から十二三歳のピオニェール少女がつかつかと演壇にのぼ・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・クラブ劇研究員の芝居、ピオニェールの分列式。ピオニェールの活人画みたいな劇、移動劇団がやって来て大道具をつくって芝居する。キノがある――記念すべき一晩をゆっくり、集団的に、楽しみの裡に階級的意識を鼓舞されつつ過すのだ。 ――……ソヴェト・・・ 宮本百合子 「正月とソヴェト勤労婦人」
・・・数台の飛行機がメーデー祝祭の分列式を行っている―― モスクワのあらゆる街々から赤い広場へ向って行進して来たデモが、広場へ入る二つの門の外で赤旗の海となった時、広場の中では、威風堂々の閲兵式の殿りとして、ソヴェト共産党青年団、中華民国共産・・・ 宮本百合子 「勝利したプロレタリアのメーデー」
出典:青空文庫