・・・神社や寺院の前に立つ時に何かしら名状のできないある物が不信心な自分の胸に流れ込むと同じように、これらの書物の中から流れ出る一種の空気のようなものは知らぬ間に自分の頭にしみ込んで、ちょうど実際に読書する事によって得られる感じの中から具体的なす・・・ 寺田寅彦 「丸善と三越」
・・・ 善ニョムさんは、老人のわりに不信心家だが、作物に対しては誰よりも熱心な信心家だった。雲が破けて、陽光が畑いちめんに落ちると、麦の芽は輝き躍って、善ニョムさんの頬冠りは、そのうちにまったく融けこんでしまった。 それだから、ちょうどそ・・・ 徳永直 「麦の芽」
・・・ 第一の女 第二の女 第三の女 非番の老近侍 帝の供人同宮人数多 法王の供人数多及び弟子達 イタリー、サレルノの農夫の老夫婦 人民数多、及び不信心な遊び者 第一幕 ・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
出典:青空文庫