・・・こういう問題も、わたしたちは、人民の基本的人権の擁護とブルジョア的な法律適用による裁判が果して公正なものであるかどうかについての絶え間ない注目とを基礎にして、判断してゆく必要がある。参議院の引揚援護委員会も吉村隊事件ではいかがわしい委員会の・・・ 宮本百合子 「「委員会」のうつりかわり」
・・・ 新しい日本が誕生するならば、その民主的な第一日の暁に、この点が、最も根本的な人権の問題として提起されなければならないのである。 司法省の部内にも種々の動きが在ることを新聞は報じている。そして、その動きは、二枚の種板が一つの暗箱の中・・・ 宮本百合子 「石を投ぐるもの」
・・・権力を失うまいとするものが、どんなに卑しく膝をかがめて港々に出ばろうとも、着実真摯な男女市民の人生は、個人と民族の基本的人権のありどころを見失わないで、粘りづよく現実に、自主的で民主的な運命の展開のためにたたかわれてゆかなければならないと思・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・明治維新は、日本において人権を確立するだけの力がなかった。ヨーロッパの近代文化が確立した個人、個性の発展性の可能は、明治を経て今日まで七十余年の間、ずっと封建的な鎖にからめられていた。したがって、西欧の近代文学の中軸として発展してきた一個の・・・ 宮本百合子 「歌声よ、おこれ」
・・・それはやっぱり裁判の民主化とは、いろいろな官僚的でなく裁判をしようということで、また被告の人権を重んじようとする、平沢の事件なんかで皆が非常に困った立場になったというようなことから、へんてこりんな基本的人権の尊重のしかたで、この浦和充子の事・・・ 宮本百合子 「浦和充子の事件に関して」
・・・加盟団体あわせて一千万人の組織員をもつ民主主義擁護同盟は、組織の大きさだけの活力を発揮しにくい事情におかれていたが、それでも各地におこっている人権蹂躙の問題に具体的に働いた。 同氏が、「平和を守る会」に参加しないことや「知識人の会」に関・・・ 宮本百合子 「五月のことば」
・・・社会のあらゆる面での男女の差別待遇は、憲法によって確認された基本的人権における男女の平等な権利にたって徐々に改善されていくでしょう。しかし、現在の日本の全人民生活を危機に陥れているインフレーションは、これらの名目上の婦人解放の実現を、非常に・・・ 宮本百合子 「国際民婦連へのメッセージ」
・・・ 一、現在学生に云いたい事 このごろのように日本の民主化が妨げられ、基本的人権がふみにじられる時代になると「僕らは学生だから」と、正しい批判精神さえすててゆく人がふえます。青春の正義を我からすてたら人生にいつ正義を主張できるでしょう・・・ 宮本百合子 「小倉西高校新聞への回答」
・・・茶坊主政治は、護符をいただいては、それを一枚一枚とポツダム宣言の上に貼りつけ、憲法の本質を封じ、人権憲章はただの文章ででもあるかのように、屈従の鳥居を次から次へ建てつらねた。 おととしの十二月二十日すぎに、巣鴨から釈放されて、社会生活に・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・権力が私達すべての人民に共通な人権を踏みにじってゆく方法はこの様に計画的であり、普通の心では信じにくい程です。 講和と云う様な我々人民の運命を決定する重大な場合、私達はまさかと云う言葉を放逐しなければいけません。 世界の民主的な勢力・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
出典:青空文庫