・・・官直轄の諸学校を私立の体に改革せられたらば、その教員の輩はもとより無官の人民なれども、いずれも皆少小の時より学に志して、自身を研き他を教育するの技倆ある人物にして、日本国中、学問の社会においては、長者先進と称すべき者なるがゆえに、その人物に・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・これにてたいてい洋書を読む味も分り、字引を用い先進の人へ不審を聞けば、めいめい思々の書をも試みに読むべく、むつかしき書の講義を聞きても、ずいぶんその意味を解すべし。まずこれを独学の手始とす。かつまた会読は入社後三、四ヶ月にて始む。これにて大・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾新議」
・・・我々は、そこで、先進的なプロレタリアートとその指導党とが、どんな困難に出会い、どんな成功をよろこびつつ、社会主義の達成に努力しているかを、知らなければならない。 何の為にブルジョア国は結束して国際連盟までを動員し、ソヴェト同盟に向って世・・・ 宮本百合子 「若者の言葉(『新しきシベリアを横切る』)」
・・・強制献金のための村の衆の集りに出て、アジ・プロしようという機会そのものの積極的なとらえかたは、間違った方法によって失敗に帰したのだが、僕というプロレタリア作家は、手紙のこの部分になると、階級的先進分子としてオルグ的活動と作家的活動とを、完全・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・彼は、年こそ六十にもなっているが、インガの勤労者としての価値、及び解放された女がどうでなければならないかという一般の原理に対しては、いつも公平な立場で、社会的に理解し先進的な見解を失わない男である。「――彼女がどうだっていうんだ? 仕事・・・ 宮本百合子 「「インガ」」
・・・パリ時代にその国の歴史から革命の歴史とその発展の理論をわがものとし、先進的なイギリスの経済学を発展的に学びとり、同時に哲学の領域では、大学時代からの研究によってヘーゲルからぬけ出し、やがてフォイエルバッハからも育ち出て唯物弁証法に立つ史観と・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・国内の情勢をはかる場合、プロレタリアートの先進部隊としての役割が改めて重大関心の焦点となった。 民主主義文学運動が、その本来の性質にふくんでいる人民としての政治的要素、階級文学としての政治性は、ここにおいて一九四八年末から一九四九年にか・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ ソヴェト同盟の文化、文学の建設は、さまざまの過程を経て今日先進的な水準をもっているのであるが、子供のための文学の問題は、その後どう解決され、進展しているであろうかと興味を動かされる。私がモスクワにいたのは一九三〇年の暮までであった。当・・・ 宮本百合子 「子供のために書く母たち」
・・・日本の細いながら雄々しい民主的文学の伝統は、この時期に後進国らしい飛躍をして、先進世界のプロレタリア文学理論をうけ入れ、影響され、それに導かれて動き出したのであった。 こういう深い根源をもつ日本文化・文学の後進性については、おそらくその・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・そういう点では、婦人参政権獲得のために苦難な道を経た先進婦人たちも、日本では政治上直接に婦人が発言してゆく機会をもっていなかったため、いつも間接に、いつも男の代議士を動かして公の声を伝えなければならなかったということで、自身の動きかたを、お・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
出典:青空文庫