・・・日本はポツダム宣言を受諾し、降参をしたのだ。しかし、それは政治上の事だ。われわれ軍人は、あく迄も抗戦をつづけ、最後には皆ひとり残らず自決して、以て大君におわびを申し上げる。自分はもとよりそのつもりでいるのだから、皆もその覚悟をして居れ。いい・・・ 太宰治 「トカトントン」
・・・けれどもポツダム宣言を受諾した二年目の私たちの生活での実際で、こういう制度の上の平等がどこまで実現されているかということはなかなかの問題だと思う。改正憲法のお祭りは五月三日に日比谷で大仕掛に行われた。けれども、あの日台所で燻い竈の前にかがみ・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・ ポツダム宣言を受諾した表面上、日本の民主化は、政府が世界に向って義務づけられた仕事です。けれども、みなさまは、どうお思いになりますか? 日本の権力者はしんから民主的になろうと努力しておりますか。武装解除した日本として、最後の正義として・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
一 今日のファシズムのありかた この八月十五日には、四回目のポツダム宣言受諾の記念日がめぐってくるわけです。その記念日にあたって、わたしたちが力をつくして闘い、抵抗しなければならないのが国の内外にあら・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・ さて、戦争が終って、ポツダム宣言が受諾され、日本は人民の幸福のための民主国にならなければならないことになった。三年経った今日、わたしたちの周囲に、いまはじめて、文学にふれてゆく人のために、最も多い偶然として氾濫している雑誌、小説類は、・・・ 宮本百合子 「新しい文学の誕生」
・・・ポツダム宣言を受諾して武装放棄をした日本は、どういう口実でも日本としてまた武装を行う理由はもっていないはずである。わたしたち日本の婦人の大部分は戦争を欲していないのだ。分別のある人民の大部分が、この上の惨禍を歓迎しようとはしていない。 ・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
民主日本の出発ということがいわれてから一年が経過した。日本の旧い支配者たちがポツダム宣言を受諾しなければならなくなって、日本の民衆はこれまでの時々刻々、追い立てられていた不安な戦争の脅威から解放された。戦争が不条理に拡げら・・・ 宮本百合子 「現代の主題」
・・・ポツダム宣言は一九四五年八月十五日という日づけで受諾したのではなかったでしょうか。昭和二十年とかいてなければ、日本のうけとるポツダム宣言ではないとは、当時の政府も云いませんでした。 クリスマスが十二月二十五日に祝われることは、キリスト教・・・ 宮本百合子 「国際婦人デーへのメッセージ」
絶対主義と戦争熱で正気をうしなっていた日本の政府が無条件降伏して、ポツダム宣言を受諾したのはつい一昨昨年の夏のことであった。今日までに、まる三年たつかたたずである。その短い間に日本の民主化の道は、はっきりと三つの段階を経た・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・ 民主的な日本にしなければならないというポツダム宣言を受諾した。日本の人民を解放し、民主社会にしなければならない責任を、いまの政府は世界から負わされている。云わば、その責任の故に存在を許されている。ところが、今日において民主的な文学とい・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
出典:青空文庫