・・・ その標目の下へ、何よりも先に==待人来る==と……姓を吉岡と云う俊吉が書込んだ時であった。 襖をすうと開けて、当家の女中が、「吉岡さん、お宅からお使でございます。」「内から……」「へい、女中さんがお見えなさいました。」・・・ 泉鏡花 「第二菎蒻本」
・・・ 産児制限を、不道徳であると婦人科の女医師である吉岡彌生女史が数年前言明したことは、一般の人々を呆然とさせた。科学に従事する者の間にさえそういう迷蒙の残っている現代の理性の水準である。男の医者その他の人々の中に、優生学の見地にたっての断・・・ 宮本百合子 「花のたより」
・・・友人の吉岡がおいもをあてがっておいて、室を出て行った。妻子を疎開させたから、研究所に寝泊りして自炊している吉岡は、自分が実験用の生きものにでもなっているように、隣室のベッドの下に泥だらけのものだの大根だのを押しこんで暮しているのであった。・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・ 富井 行雄 伸一 健吉 小枝 永田弁護士 村上さん 清瀬さん┌───────┐│ 山代弁護士 ││ 上野駅 │ 吉岡 └─────────┘ 自・・・ 宮本百合子 「「風知草」創作メモ」
出典:青空文庫