・・・だが、独立の人間としての理性から自由を愛し、より多くの社会人の生活の安定が見出されなければならないと判断するひとびとは、社会的発言と活動にカセをはめられた。孔雀の羽根に身をかざったおろかな烏や虎の威をかる狐のものがたりを書いたイソップは、奴・・・ 宮本百合子 「動物愛護デー」
・・・自分を孔雀のように美くしい孔雀のようなおごりのある女だと思って居る常盤の君は、「ほんとうに皆さま私達によくして下さるのに、彼の方ばかりはネーほんとうにどうあそばしたんでしょう」なんかと母君に云いかける。「どうしたもんでしょうかね・・・ 宮本百合子 「錦木」
・・・いつもより沢山……紅葉、紫陽花、孔雀草、八つ手、それぞれ特有な美くしさと貴さで空と土との間を色どって居る。どんなささやかなもの、そんなまずしげなものにでも朝のかがやきはい(おって居る。「力強い、勇気の有る、若々しい朝は、立派な洗面器・・・ 宮本百合子 「日記」
・・・白鳥だの孔雀だのという星座さえそこにはありました。凝っと視ていると、ひとは、自分が穢い婆さんの部屋にいるのか、一つの星となって秋の大空に瞬いているのか、区別のつかない心持になるのでした。 お婆さんを見かけたものはありません。 併し、・・・ 宮本百合子 「ようか月の晩」
出典:青空文庫