・・・それがすむまでわれわれの車は待たなければならないので車から下りて煙草を吸いつけながらその辺に転がっている岩塊を検査した。安山岩かと思われる火山岩塊の表面が赤あかさびいろに風化したのが多い。いつかの昔の焼岳の噴火の産物がここまで流転して来たも・・・ 寺田寅彦 「雨の上高地」
・・・(石英安山岩か流紋岩 私はつぶやくようにまた考えるようにしながら水際に立ちました。(こいつは過冷却の水だ。氷相当官私はも一度こころの中でつぶやきました。 全く私のてのひらは水の中で青じろく燐光を出していました。 あたりが・・・ 宮沢賢治 「インドラの網」
・・・向うは安山岩の集塊岩、こっちは流紋凝灰岩です。石灰や加里や植物養料がずうっと少いのです。ここにはとても杉なんか育たないのです。〕うしろでふんふんうなずいているのは藤原清作だ。あいつは太田だからよくわかっているのだ。〔尤も向うの杉のついて・・・ 宮沢賢治 「台川」
出典:青空文庫