・・・それでもしこれが物理学の教科書か学術論文の中の文句であるとすれば当然改むべきはずであるが、随筆中の用語となると必ずしも間違いとは云われないかもしれない。紺屋の白袴、医者の不養生ということもあるが、物理の学徒等が日常お互いに自由に話し合う場合・・・ 寺田寅彦 「随筆難」
・・・それは自己の内においての直証の事実という代りに、自己成立の事実と改むべきである。考えるということ、その事が既にそういう事実であるのである。疑うということすら、かかる矛盾的自己同一から起るのである。無論、私はいわゆる経験論者の如く知識は外から・・・ 西田幾多郎 「デカルト哲学について」
・・・今このめしの字は俗なるゆえメシと改むべしなど国中に諭告するも、決して人力の及ぶべき所に非ず。 さればここに小学の生徒ありて、入学の後一、二カ月をすぎ、当人の病気か、親の病気か、または家の世帯の差支をもって、廃学することあらん。その廃学の・・・ 福沢諭吉 「小学教育の事」
出典:青空文庫