・・・全体むずかしいこの仕事の中でも特に手に負えないのは、ゴーリキイにとって文法であったというのは面白い。彼は、幾分極りわるげに、しかし或る誇りを潜めて書いている。「私はその中に、生きた、困難な、気儘で柔軟なロシア語をどうしてもはめこむことが出来・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・そして、このむずかしい仕事の中でも手に負えないのが、ゴーリキイにとっては文法であったというのは面白い。彼は、幾分極りわるげに、しかし或る誇りを潜めて書いている。「私はその中に、生きた、困難な、気儘で柔軟なロシア語をどうしてもはめこむことが出・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・君は語格文法に精しい。文章を分析して細かい事を云う。私はそんな時に始て聞く術語に出くわして驚くことがある。しかし君の書いたドイツ文には漢学者の謂う和習がある。ドイツ人ならばそうは云わぬと、私が指してきする。君が服せぬと、私は旅中にも持ってい・・・ 森鴎外 「二人の友」
出典:青空文庫