・・・「我らに日用の糧を今日も」じゃない「今日こそは与えたまえ」。ついでに我らにガランスを与えたまえ。あとは腹がへっているからぬかします。「アーメン」。ええと我らにガランスを与えたまえ。ガランスを与えたまえ。我らに日用の糧を与えたまえ。我らに日用・・・ 有島武郎 「ドモ又の死」
・・・ 小学教育の事 二 平仮名と片仮名とを較べて、市在民間の日用にいずれか普通なりやと尋れば、平仮名なりと答えざるをえず。男女の手紙に片仮名を用いず。手形、証文、受取書にこれを用いず。百人一首はもとより、草双紙その他、民間・・・ 福沢諭吉 「小学教育の事」
・・・ 一九五〇年になって、基本的人権ということばが日用語にはいっているとき、日本では東京全都民の指紋をとることにした、という現象は、世界にむかって、日本そのものが何人かにとって一つの容疑者の檻になりつつあるということを語るのだろうか。あるい・・・ 宮本百合子 「指紋」
・・・ この節では国際結婚という言葉も日用語に近くなった。モードについて書かれている記事の中に、ロマネスクは目下モードにおける国際的傾向であると書かれているとき、むずかしい言葉でかいてあるわ、と批難する娘さんたちはいない。日本の娘のおどろくよ・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・文学語から日用語に移ろうとしている。しかし、このことは、小林秀雄氏が何処かで云っているように、単に既成作家、評論家が今の調子をつづけて円熟し、ものわかりよくなった結果として、年齢とともに期待し得るというような実質を意味するものではないと思う・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
出典:青空文庫