・・・そもそも天の此文を喪さざるの深意なるべし。本日たまたま中元、同社、手から酒肴を調理し、一杯をあげて、文運の地におちざるを祝す。 慶応四年戊辰七月慶応義塾同社 誌 福沢諭吉 「中元祝酒の記」
・・・「さあどうか、お掛け下さい。」 私はこしかけました。「ええと、失礼ですがお職業はやはり学事の方ですか。」校長がたずねました。「ええ、農学校の教師です。」「本日はおやすみでいらっしゃいますか。」「はあ、日曜です。」・・・ 宮沢賢治 「茨海小学校」
・・・「ビジテリアン同情派諸君。本日はこの光彩ある大祭に出席の栄を得ましたことは私の真実光栄とする処であります。 就てはこれより約五分間私の奉ずる神学の立場より諸氏の信条を厳正に批判して見たいと思うのであります。然るに私の奉ずる神学とは然・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
・・・「本日は東北長官一行の出遊につきこれより中には入るべからず。東北庁」 私はがっかりしてしまいました。慶次郎も顔を赤くして何べんも読み直していました。「困ったねえ、えらい人が来るんだよ。叱られるといけないからもう帰ろうか。」私が云・・・ 宮沢賢治 「二人の役人」
・・・「今日は何時に公判の運びになっているか。」「本日もやはり晩の七時から二件だけございます。」「そうか。よろしい。それでは今朝は八時から世界長に挨拶に出よう。それからすぐ巡視だ。みんなその支度をしろ。」「かしこまりました。」・・・ 宮沢賢治 「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」
・・・見ると、イ警第三二五六号 聴取の要有之本日午後三時本警察署人事係まで出頭致され度し一九二七年六月廿九日第十八等官レオーノ・キュースト殿とあったのです。 ああ、あのデストゥパーゴのことだな、これはおもしろい・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
・・・ 店はしまっている。 物売も出ていない。 午後になると往来はだんだん混みはじめ、芸術座前の狭い通りは歩道一杯の人だ。みると芸術座の入口に特別はり札が出ている。 本日は労働者のためだけに開演する。 前もって職業組合から切符・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・「本日、劇場はただ労働者諸君のためにだけ開場する」――職業組合がモスクワじゅうの劇場の切符を労働者に分けるんだ。五月二日、モスクワじゅうの数万人の労働者が、昼間はのんびり散歩して、夜は芝居を観る。これは、小さなことか? ――……あんまり・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
本日の会には是非出席いたしまして、お話を伺いたいと思いますが、健康がまだ無理なので失礼いたします。そして、もし出席いたしましたら、発言したいと考えて居る点について、簡単にのべます。一、「チャタレー夫人の恋人」の翻訳者並・・・ 宮本百合子 「「チャタレー夫人の恋人」の起訴につよく抗議する」
出典:青空文庫