・・・茶道にも機運というものでがなあろう、英霊底の漢子が段に出て来た。松永弾正でも織田信長でも、風流もなきにあらず、余裕もあった人であるから、皆茶讌を喜んだ。しかし大煽りに煽ったのは秀吉であった。奥州武士の伊達政宗が罪を堂ヶ島に待つ間にさえ茶事を・・・ 幸田露伴 「骨董」
・・・ 織田信長が今川を亡ぼし、佐木、浅井、朝倉をやりつけて、三好、松永の輩を料理し、上洛して、将軍を扶け、禁闕に参った際は、天下皆鬼神の如くにこれを畏敬した。特に癇癖荒気の大将というので、月卿雲客も怖れかつ諂諛して、あたかも古の木曾義仲の都・・・ 幸田露伴 「魔法修行者」
・・・同時にまた彼は熱心なキリシタン排撃者であって、仕官の前年に『排耶蘇』を書いている。松永貞徳とともに、『妙貞問答』の著者不干ハビアンを訪ねた時の記事である。その時、まず第一に問題となったのは、「大地は円いかどうか」ということであった。羅山はハ・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫