・・・ランスロットの何の思案に沈めるかは知らず、われは昼の試合のまたあるまじき派手やかさを偲ぶ。風渡る梢もなければ馬の沓の地を鳴らす音のみ高し。――路は分れて二筋となる」「左へ切ればここまで十哩じゃ」と老人が物知り顔にいう。「ランスロット・・・ 夏目漱石 「薤露行」
・・・を描かなかった小村雪岱、石井鶴三、中川一政などという画家たちが、装幀や插画にのり出して来て、その人々のその種の作品は、本格的な画家であるが故に珍重されつつ、その半面ではそのことで彼等の本格の仕事に一種派手やかな目を注がせる雰囲気をつくるもの・・・ 宮本百合子 「おのずから低きに」
・・・婦人の進出の目ざましさは大変派手やかに写真入りで各新聞に語られているし、外人記者も、珍しいこととして注目している。進歩党や自由党の首領たちは、得票を婦人にくわれたと表現しているのである。 日本の婦人は政治に無関心であると、どの位云われて・・・ 宮本百合子 「春遠し」
出典:青空文庫