・・・近くもたれようとしているアジアの国際婦人民主連盟の大会でわたしたち日本の女性は、自分たちと世界の災厄をふせぐために、ベトナムの若い代表婦人が、ブダペストから世界の良心にアッピールしたように、アッピールする機会をもたなければならないと思う。・・・ 宮本百合子 「人間イヴの誕生」
・・・人間は、これ程の災厄を、愚な案山子のように突立ったぎりでは通すまい。灰の中から、更に智慧を増し、経験によって鍛えられ、新たな生命を感じた活動が甦るのだ。人間のはかなさを痛感したことさえ無駄にはならない。非常に際し、命と心の力をむき出しに見た・・・ 宮本百合子 「私の覚え書」
・・・もしすでに彼らが先駆者であったとすれば、二十世紀初頭の兵乱と災厄との前で、人々はこの新しい道を凝視しなければならぬ。四 破壊せらるべき偶像がまた再興せらるべき権利を持つという事実は、偶像破壊の瞬間においてはほとんど顧みられな・・・ 和辻哲郎 「『偶像再興』序言」
出典:青空文庫