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・・・父は永年国家とか会社銀行とかの理財事務にたずさわっていたけれども、筆算のことにかけては、極度に鈍重だった。そのために、自分の家の会計を調べる時でも、父はどうかするとちょっとした計算に半日もすわりこんで考えるような時があった。だから彼が赤面し・・・
有島武郎
「親子」
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・・・ 右条々のごとく、上下両等の士族は、権利を異にし、骨肉の縁を異にし、貧富を異にし、教育を異にし、理財活計の趣を異にし、風俗習慣を異にする者なれば、自からまたその栄誉の所在も異なり、利害の所関も異ならざるを得ず。栄誉利害を異にすれば、また・・・
福沢諭吉
「旧藩情」