むらさきにおい【紫匂】
1 上から下へ紫色をしだいに薄くした染め色。 2 襲 (かさね) の色目の名。上を濃い紫にして、下をしだいに薄くしたもの。 3 鎧 (よろい) の威 (おどし) の一。紫色の糸で上部から下部へしだいに薄くなるように威したもの。
むらさきの【紫の】
[枕] 1 ムラサキの根で染めた色の美しいところから、「にほふ」にかかる。「—にほへる妹を憎くあらば」〈万・二一〉 2 紫色が名高い色であったところから、地名「名高 (なたか) 」にかかる。「—名高の浦の砂地 (まなごつち) 」〈万・一三九二〉 3 濃く染まる意から、「濃 (こ) 」と同音を含む地名「粉滷 (こがた) 」にかかる。「—粉滷の海にかづく鳥」〈万・三八七〇〉
むらさきのうすよう【紫の薄様】
1 紫色に染めた薄い紙。 2 襲 (かさね) の色目の名。上から下へ紫色をしだいに薄くしたもの。女房の五衣 (いつつぎぬ) では下の二領を白とする。
むらさきのくも【紫の雲】
1 紫色の雲。めでたいしるしとされる雲。しうん。「君がため折れるかざしは—におとらぬ花のけしきか」〈源・宿木〉 2 皇后の異称。「—のよそなる身なれども」〈後拾遺・賀〉
むらさきのくもじ【紫の雲路】
《極楽には紫の雲がたなびいているというところから》極楽の空。「—にさそふ琴の音に憂き世をはらふ嶺の松風」〈新古今・釈教〉
むらさきのそで【紫の袖】
四位以上の人が着用した袍 (ほう) のこと。→位階
むらさきのちり【紫の塵】
《和漢朗詠集・上の「紫塵 (しじん) の嫩 (わか) き蕨 (わらび) は人手を拳 (にぎ) る」の「紫塵」の訓読み》ワラビの芽。「武蔵野のすぐろが中の下蕨まだうら若し—」〈長方集〉
むらさきのにわ【紫の庭】
《宮城の意の紫微宮 (しびきゅう) から》宮中の庭園。禁苑 (きんえん) 。「—ものどかにかすむ日の」〈秋篠月清集〉
むらさきのほし【紫の星】
紫微星 (しびせい) のこと。天子にたとえられる。「日の光重ねて照れば—も二つに色やなるらむ」〈類従本伊勢集〉
むらさきのみや【紫の宮】
《宮城の意の紫微宮から》中宮・皇后の異称。