・・・ 僕を商売人と見たので、また厭気がしたが、他日わが国を風靡する大文学者だなどといばったところで、かの女の分ろうはずもないから、茶化すつもりでわざと顔をしかめ、「あ、いたた!」「うそうそ、そんなことで痛いものですか?」と、ふき出し・・・ 岩野泡鳴 「耽溺」
・・・ と橋田氏は、僕の茶化すような質問に立腹したような口調で、「貴族の立小便なんかじゃありませんよ。少しでも、ほんのちょっとでも永く、私たちの傍にいたくて、我慢に我慢をしていたせいですよ。階段をのぼる時の、ドスンドスンも、病気でからだが・・・ 太宰治 「眉山」
・・・で (L.)jocus が「茶化す」に通じるのもおもしろい。 barbarus で思いだすのは「野蛮」と (Skt.)yavana である。後者は、ギリシア人であったのが後には一般外国人、あるいは回教徒の意に用いられ、ちょうどギリシ・・・ 寺田寅彦 「言葉の不思議」
出典:青空文庫