・・・父は、私が農学を研究していたものだから、私の発展させていくべき仕事の緒口をここに定めておくつもりであり、また私たち兄弟の中に、不幸に遭遇して身動きのできなくなったものができたら、この農場にころがり込むことによって、とにかく餓死だけは免れるこ・・・ 有島武郎 「小作人への告別」
・・・若く元気な生徒らの目にはどこかの別の世界から天下って来たような法学士、農学士、文学士の先生たちがシャツ一つになって校庭で猛烈な練習をリードした。生徒らの目には世界が急に素量的に飛躍したように感ぜられた。そうしてさらに次にきたるべき時代への希・・・ 寺田寅彦 「野球時代」
・・・この頃は役者が西洋へ留学して、農学士が植木屋になるのだからネ。」「オイオイ君ソップがさめるヨ。」「なるほどこれは旨い。病室で飲むソップとは大違いだ。」「寝台附の車というのはこれだな。こんな風に寐たり起きたりしておれば汽車の旅も楽なも・・・ 正岡子規 「初夢」
・・・また同時に工部大学校、駒場農学校へも伝わりたりと覚ゆ。東京大学予備門は後の第一高等中学校にして今の第一高等学校なり。明治十八、九年来の記憶に拠れば予備門または高等中学は時々工部大学、駒場農学と仕合いたることあり。また新橋組と工部と仕合いたる・・・ 正岡子規 「ベースボール」
〔冒頭原稿一枚?なし〕以外の物質は、みなすべて、よくこれを摂取して、脂肪若くは蛋白質となし、その体内に蓄積す。」とこう書いてあったから、農学校の畜産の、助手や又小使などは金石でないものならばどんなものでも片っ端から、持っ・・・ 宮沢賢治 「フランドン農学校の豚」
・・・第三門に天文、数学、博物学、医学、兵学、農学。そして、第四門に文学美術、音楽。第五門、編年、家記、伝記、考証、地理。第六門に叢書、類書等を総括している。漢書之部も、第一門が四書、五経や孝経、儒家、諸子、西教等を包括している。 今日の図書・・・ 宮本百合子 「蠹魚」
・・・林学博士と云えば、農学の一部で、それは自然科学の分野に属す学問上の博士ということであろう。その人が、林学について語らずに、貯蓄法について語っていることを、吾もひともみっともない妙なことと感じない感覚というものは、日本のどういう文化・科学性を・・・ 宮本百合子 「市民の生活と科学」
出典:青空文庫