・・・最も当惑することは、ヨーロッパ人が日本を観賞するそういうマンネリズムを、国内的に逆用される場合である。日本のねうちはそこなのだから、と外からの皮相的な日本を見る目を内へあてはめて、利用される場合である。そういう場合は、無邪気で無責任なそして・・・ 宮本百合子 「中国に於ける二人のアメリカ婦人」
・・・――ブルジョア婦人雑誌が一見実に陳腐でありながらしかも永年の間婦人大衆をとらえつづけている種々な編輯上の技術、目のつけどころというようなものまで『働く婦人』は、それを奪って逆用すべき敵の武器として研究しようとする積極性を示しているのである。・・・ 宮本百合子 「婦人雑誌の問題」
・・・日本婦人のやさしい雄々しさは、それを逆用した穢い手から奪いかえされて、自分と自分の愛するすべての者の幸福の確立のために、まめに、うまずたゆまず、昔ながらの温かさに今日の叡智と覚醒とを添えて、働かなければならないのである。〔一九四六年四月〕・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫