・・・ 即ち新ローマン主義は、昔時のローマン主義のように空想に近い理想を立てずに、程度の低い実際に近い達成し得らるる目的を立てて、やって行くのである。社会は常に、二元である。ローマン主義の調和は時と場所に依り、その要求に応じて二者が適宜に調諧・・・ 夏目漱石 「教育と文芸」
・・・ 十二年をへだて、今日著者がたまに書く文学評論は、主題と表現の問題にしろよりリアルにとらえられていて、人民的な民主主義社会とその文学の達成のために、堅ろうな階級的骨組みとくさびとを与えている。 著者自身が一九二九年に「過渡期」として・・・ 宮本百合子 「巖の花」
・・・自分の才能の達成と、愛の達成そのもののために、民主社会の諸条件がどんなに必須なものであるかを、どのように理解しはじめているだろうか。「キュリー夫人伝」を書いて、日本にもしたしまれているキュリー夫人の二女エヴ・キュリーは、一九四三年に「戦・・・ 宮本百合子 「明日の知性」
・・・文化・文学における政治の優位性ということを、たたかいの年月を通じてまじめに体験し、理解している人は、既成の学問の諸分野において、民主的創造、民主的な学問の達成そのものが闘われなければならないことを痛感しています。学問を愛する多くの学生が大学・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・我々は、そこで、先進的なプロレタリアートとその指導党とが、どんな困難に出会い、どんな成功をよろこびつつ、社会主義の達成に努力しているかを、知らなければならない。 何の為にブルジョア国は結束して国際連盟までを動員し、ソヴェト同盟に向って世・・・ 宮本百合子 「若者の言葉(『新しきシベリアを横切る』)」
・・・ この事実は、わたし一個人の達成としてとりあげられるのではない。日本でプロレタリア文学運動がこんにちのわたしたちの活動のために基礎づけたものの積極面が、はっきりくみとれるという意味なのである。 一九三六、七年以後から十年の歳月は、日・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」
・・・それらの部分で作者はきっと、思惟の当然の発展としてソヴェト同盟における社会主義的小学教育が全社会の前進とともに達成において新しい人間を生みつつあることや、または現在日本の文部省教育の腐敗は日本独特の封建的専制主義の重圧によるものであることな・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 大衆の社会主義達成、世界のプロレタリア革命に向って常に、用意しているのだ。 メーデーに赤い広場の歴史的首切り台に飾られた労働者の大群像は祭の後にモスクワ河の河岸にある「文化と休養の公園」の丘の上へ移された。 河岸には職業組合の・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・文学研究員は大衆を、壁新聞と工場新聞に向って動員し、生産経済計画達成に大衆の自発性を鼓舞する文学的実践を自身の文学的勉強とすべきだということになったのだ。 これは、完く正しい。そして「鎌と鎚」工場の文学研究会がこの集会で再組織をしよ・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・作家がより高い達成のために謙そんであるということは、本質をゆがめた評価に屈伏することではない。〔一九四九年三月〕 宮本百合子 「河上氏に答える」
出典:青空文庫