・・・それが全警備区に配分されて、配給や救護や、道路、橋の修理などにも全力を上げてはたらいたのです。軍用鳩も方々へお使いをしました。 同時に海軍では聯合艦隊以下、多くの艦船を派出して、関西地方からどんどん食料や衛生材料なぞを運び、ひなん者の輸・・・ 鈴木三重吉 「大震火災記」
・・・これ等は、おもに流動する貨幣のみちびきかた、適当な配分を考究して、金によって支配される、生活に必須な物質方面から、人間生活を正当なものに落ち付けて行こうとするのではないでしょうか。けれども、私が、深く疑問に思うことは、それ等の諸問題が学理的・・・ 宮本百合子 「男…は疲れている」
・・・労働者百人に対する技師・技術家配分率 一九二八年 二・五〇パーセント 一九二九年 二・六六パーセント 一九三〇年 二・八四パーセント 確実に、労働者、農民出の技師技術家が殖えている。しかし、この率は、・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・過労をしないということは、仕事をよく配分することであるから、私はそのことを心がけて、仕事は十分、多量にして居ります。一月号の『中央公論』に小説をかくので、上林へかえることは中止しました。本をよんでする仕事と小説とは全く違った雰囲気を要求する・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・それより日本女を羨ましがらせたのは、その下の「五月二十九日からの切符配分」という表だ。レーニングラード市内各区の、小学校・ピオニェール分隊・児童図書館・子供の家・工場学校は、それぞれきまった日に、この「若い観衆の劇場」から無代の切符配分をう・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・工業が発達し、商業が自由になり「ナポレオンによって全ヨーロッパに及ぼされた国富の新しい配分が、特にフランスにおいてその実を結びはじめ」ると同時に、大革命時代に「没収されていた教会僧院の財産は勿論、或は分割され、或は競売に附せられた貴族の財産・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・嫡子権兵衛は父の跡をそのまま継ぐことが出来ずに、弥一右衛門が千五百石の知行は細かに割いて弟たちへも配分せられた。一族の知行を合わせてみれば、前に変ったことはないが、本家を継いだ権兵衛は、小身ものになったのである。権兵衛の肩幅のせまくなったこ・・・ 森鴎外 「阿部一族」
出典:青空文庫